『脈経』王叔和譔 (巻第一)① ~鍼灸院必携・脈診の原典~

脈の形状指下の秘訣 第一

浮脈ふみゃくは之を挙げれば余り有り、之を按ずれば足らず。
芤脈こうみゃくは浮大にして軟。之を按ぜば中央空しめ両辺実す。
洪脈こうみゃくは極大にして指下に在り。
滑脈かつみゃくは往来前却流利。展転替替然として、数と相似たり。
数脈さくみゃくは去来促急なり。
促脈そくみゃくは来去数にして時に一止して復た来る。
弦脈げんみゃくは之を挙げれば有ること無し、之を按ずれば弓の弦の状の如し。
緊脈きんみゃくは数にして縄を切する状の如し。
沈脈ちんみゃくは之を挙げれば足らず、之を按ずれば余り有り。
伏脈ふくみゃくは極めて指を重くして之を按ずれば、骨に着きて乃ち得る。
革脈かくみゃくは沈の伏に似ること有り。実大にして長微弦。
実脈じつみゃくは大にして長微強。之を按ずれば指に隠れて愊愊然とす。
微脈びみゃくは極て細にして軟。或は絶せんと欲す。有るが若し無きが若し。
濇脈しょくみゃくは細にして遅。往来難にして且に散じ、或は一止して復た来る。
細脈さいみゃくは小しく微より大にして常にただ細有るのみ。
軟脈なんみゃくは極めて軟にして浮細。
弱脈じゃくみゃくは極めて軟にして沈細。之を按ずれば指下に絶せんと欲す。
虚脈きょみゃくは遅大にして軟。之を按ずれば足らず。指に隠れて豁豁然として空し。
散脈さんみゃくは大にして散る。散は気実血虚。表有りて裏無し。
緩脈かんみゃくは去来亦遅し。小しく遅よりもはやし。
遅脈ちみゃくは呼吸三至。去来極て遅し。
結脈けつみゃくは往来緩にして時に一止して復た来る。
代脈たいみゃくは来ること数にして中止す。自ら還ること能わず。因て復た動ず。脈、結する者は生き、代する者は死す。
動脈どうみゃくは関上に見る。頭尾無し。大きさ豆の如し。厥厥然として動揺す。
浮と芤は相類す。 弦と緊は相類す。
滑と数は相類す。 革と実は相類す。
沈と伏は相類す。 微と濇は相類す。
軟と弱は相類す。 緩と遅は相類す。


【メモ】
脈状の24種類の説明。

原文

脉形狀指下祕訣第一 [1]
浮脉舉之有餘按之不足[2]
芤脉浮大而軟按之中央空兩邊實[3]
洪脉極大在指下[4]
滑脉往來前却流利展轉替替然與數相似[5]
數脉去來促急[6]
促脉來去數時一止復來
弦脉舉之無有按之如弓弦狀[7]
緊脉數如切繩狀[8]
沈脉舉之不足按之有餘[9]
伏脉極重指按之著骨乃得[10]
革脉有似沈伏實大而長微弦[11]
實脉大而長微強按之隱指愊愊然[12]
微脉極細而軟或欲絶若有若無[13]
濇脉細而遲往來難且散或一止復來[14]
細脉小大於微常有但細耳
軟脉極軟而浮細[15]
弱脉極軟而沈細按之欲絶指下[16]
虚脉遲大而軟按之不足隱指豁豁然空
散脉大而散散者氣實血虚有表無裏
緩脉去來亦遲小駛於遲[17]
遲脉呼吸三至去來極遲[18]
結脉往來緩時一止復來[19]
代脉來數中止不能自還因而復動脉結者生代者死
動脉見於關上無頭尾大如豆厥厥然動搖[20]
浮與芤相類[21]  弦與緊相類
滑與數相類   革與實相類[22]
沈與伏相類   微與濇相類
軟與弱相類   緩與遲相類[23]

注釈
[1] ^ : 二十四種
[2] ^ : 浮於手下
[3] ^ : 一曰手下無兩傍有
[4] ^ : 一曰浮而大
[5] ^ : 一曰浮中如有力 一曰漉漉如欲脫
[6] ^ : 一曰一息六七至 一曰數者進之名
[7] ^ : 一曰如張弓弦按之不移又曰浮緊爲弦
[8] ^ : 一曰如轉索之無常
[9] ^ : 一曰重按之乃得
[10] ^ : 一曰手下裁動 一曰按之不足舉之無有 一曰關上沈不出名曰伏
[11] ^ : 千金翼以革爲牢
[12] ^ : 一曰沈浮皆得
[13] ^ : 一曰小也一曰手下快 一曰浮而薄 一曰按之如欲盡
[14] ^ : 一曰浮而短 一曰短而止或曰散也
[15] ^ : 一曰按之無有舉之有餘 一曰細小而軟軟 一作濡曰濡者如帛衣在水中輕手相得
[16] ^ : 一曰按之乃得舉之無有
[17] ^ : 一曰浮大而軟隂浮與陽同等
[18] ^ : 一曰舉之不足按之盡牢 一曰按之盡牢舉之無有
[19] ^ : 按之來緩時一止者名結陽初來動止更來小數不能自還舉之則動名結陰
[20] ^ : 傷寒論云陰陽相搏名曰動陽動則汗出陰動則發熱形冷惡寒數脉見於關上上下無頭尾如豆大厥厥動搖者名曰動
[21] ^ : 與洪相類
[22] ^ : 千金翼云牢與實相類
[23] ^ : 軟與遲相類

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底本:『脈経 仿宋何大任本』北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部・日本内経医学会
参考:『王叔和脉経』京都大学附属図書館所蔵

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