『脈経』王叔和譔 (巻第三)① ~鍼灸院必携・脈診の原典~

肝胆部 第一 (1/3)

肝は木にかたどる。(肝は五行に於いて木に象る)
胆と合して府たり。(胆は清浄の腑たり)
其の経は足の厥陰(厥陰肝の脈)と足の少陽(少陽胆の脈なり)と表裏を為す。(臓は陰、腑は陽、故に表裏を為す)
其の脈は絃。(絃は肝脈の大形なり)
其の相は冬三月(冬は水王木相)、王は春三月、廃は夏三月(夏は火王木廃)、囚は季夏六月(季夏は土王木囚)、死は秋三月なり(秋は金王木死)。
其の王日は甲乙、王時は平旦日出なり。(並に木なり)
其の困日は戊己、困時は食時日昳なり。(並に土なり)
其の死日は庚辛、死時は晡時日入なり。(並に金なり)
其の神は魂なり。(肝の蔵す所は魂)
其の主は色なり。
其の養は筋なり。(肝気の養う所は筋)
其の候は目なり。(肝の候は目に出、故に肝実するときは目赤し)
其の声は呼なり。
其の色は青なり。
其の臭は臊なり。(月令に云う、其の臭は羶)
其の液は泣なり。(泣は肝に出)
其の味は酸なり。
其の宜は苦なり。(苦は火の味なり)
其の悪は辛なり。(辛は金の味)

肝の兪は背第九椎に在り、募は期門(両乳直に二肋下る端)に在り。

胆の兪は背第十椎に在り、募は日月(穴は期門の下五分に在り)に在り。

 右新撰(並に素問、諸経に出。昔人の撰集或は混雑相渉、煩にして了し難し。今事要を抄して五臓を分別して各一部と為す)


【メモ】
昳(てつ):かたむく
晡(ほ):夕方
注釈が多いため、3つに分けて投稿。

原文

肝膽部第一 (1/3)
肝象木[1]與膽合爲府[2]其經足厥隂[3]
與足少陽爲表裏[4]其脉絃[5]
其相冬三月[6]王春三月廢夏三月[7]
囚季夏六月[8]死秋三月[9]其王日甲乙
王時平旦日出[10]其困日戊己困時食時日昳[11]
其死日庚辛死時晡時日入[12]其神魂[13]其主
色其養筋[14]其候目[15]其聲呼其色
青其臭臊[16]其液泣[17]其味酸其冝苦[18]
其惡辛[19]肝俞在背第九椎募在期門[20]
膽俞在背第十椎募在日月[21]
    右新撰[22]

注釈
[1] ^ : 肝於五行象木
[2] ^ : 膽爲清淨之府
[3] ^ : 厥隂肝脉
[4] ^ : 少陽膽脉也藏隂府陽故爲表裏
[5] ^ : 絃肝脉之大形也
[6] ^ : 冬水王木相
[7] ^ : 夏火王木廢
[8] ^ : 季夏土王木囚
[9] ^ : 秋金王木死
[10] ^ : 並木也
[11] ^ : 並土也
[12] ^ : 並金也
[13] ^ : 肝之所藏者魂
[14] ^ : 肝氣所養者筋
[15] ^ : 肝候出目故肝實則目赤
[16] ^ : 月令云其臭羶
[17] ^ : 泣出肝
[18] ^ : 苦火味也
[19] ^ : 辛金味
[20] ^ : 直兩乳下二肋端
[21] ^ : 穴在期門下五分
[22] ^ : 並出素問諸經昔人撰集或混雜相涉煩而難了今抄事要分別五藏各爲一部

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底本:『脈経 仿宋何大任本』北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部・日本内経医学会
参考:『王叔和脉経』京都大学附属図書館所蔵

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