『脈経』王叔和譔 (巻第三)② ~鍼灸院必携・脈診の原典~

肝胆部 第一 (2/3)

冬至の後、甲子を得て、少陽夜半に起こり、肝家して王す。[1]
肝は東方の木なり。[2]
万物始て生じて其の気来ること耎にして弱、寛にして虚なり。[3]
故に脈絃たり。[4]
耎は即ち発汗すべからず。
弱は即ち下すべからず。
寛なる者は開なり。
開なる者は通ず。
通ずる者は利す。
故に名づけて寛にして虚と曰う。[5]
春は胃の気を以って本と為す。犯すべからず。[6]
 右、四時経

注釈
[1] ^ : 冬至は歳終の節、甲子の日は陰陽かわり始るの数なり。少陽は胆なり。胆は木なり。水に生ず。故に夜半に起る。其の気、常に微少、故に少陽と言う。夜半子は水と云う。
[2] ^ : 肝と胆と臓腑を為す。故に東方が王、木行に応ず。
[3] ^ : 春は少陽の気、温にして和、耎、弱。故に万物日に生ず。
[4] ^ : 肝の気は筋を養う。故に其の脈、絃強。亦、木に法り体強なり。
[5] ^ : 言く少陽、始めに起きて尚、耎弱。栄衛に入て腠理を開通し、発すれば即ち汗出でて止まらず、下るべからず、之れ下して泄利禁ぜず、故に寛虚と言う。通利なり。
[6] ^ : 胃は土なり。万物土を稟けて胃を生ず。亦、五臓を養う。故に肝王するときは胃の気を以って本と為す。犯すべからずとは傷るべからずなり。

原文

肝膽部第一 (2/3)

冬至之後得甲子少陽起於夜半肝家王[1]
肝者東方木[2]萬物始生其氣來耎
而弱寬而虚[3]故脉爲絃[4]
耎即不可發汗弱即不可下寬者開開者
通通者利故名曰寬而虚[5]
春以胃氣爲本不可犯也[6]
右四時經

注釈
[1] ^ : 冬至者歲終之節甲子日者隂陽更始之數也少陽膽也膽者木也生於水故起夜半其氣常微少故言少陽云夜半子者水也
[2] ^ : 肝與膽爲藏府故王東方應木行也
[3] ^ : 春少陽氣温和耎弱故萬物日生焉
[4] ^ : 肝氣養於筋故其脉絃強亦法木體強也
[5] ^ : 言少陽始起尚耎弱入榮衛湊理開通發即汗出不止不可下下之而泄利不禁故言寬虚通利也
[6] ^ : 胃者土也萬物稟土而生胃亦養五藏故肝王以胃氣爲本也不可犯者不可傷也

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底本:『脈経 仿宋何大任本』北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部・日本内経医学会
参考:『王叔和脉経』京都大学附属図書館所蔵

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