『療治之大概集 巻之上』杉山和一著 ~江戸時代の鍼灸の教科書~

療治之大概集 巻之上

補瀉の事
一、呼息つくいきはりし入れ、吸息ひくいきはりき、そのあとむなり。
一、しゃ吸息ひくいきに鍼を刺し入れ、呼息つくいきに鍼を抜き、その跡を揉まぬなり。

押手の事
一、押手おしでは強からず弱からず、鍼くまで押手動かさざるものなり。強く押してこころよきをきょとし、痛むものをばじつと知るなり。

撚りの事
一、ひねりを一大事とす。補瀉有り生死を知る。くだすには左の方へひねり、気をのぼすには右の方へ撚る。心にはすいとを持ち鉄石てつせきを撚りくがことく、手の内をやわらかにしてじゅんぎゃくとをかんがえ撚る時は万病いえずと云う事無し。

四季鍼の事
一、春夏は浅く刺し、秋冬は深く刺す。れば、春夏は陽気上に在り人の気もまた上に在り、故に浅く刺す。秋冬は陽気に在り人の気もまた下に在り、故に深く刺す。是、四季に鍼を用る浅深の法なり。

男女立様の事
一、男は陽にして気外に甚だし。鍼する時は手を軽くその穴を押てその鍼を浅く刺し
一、女は陰にして気内に甚だし。鍼する時は手を重くその穴を押てその鍼を深く刺すなり。

鍼折れたる時の事
一、腹の中にて鍼折れたる時は押手引かざる者なり。鍼の折れ口腹の皮とひとしく折るるは、先ず押手を以て強く押し出す者なり。折れ口皮一分計り内に在る時は病人少しも動かさずしてその穴より下に鍼刺す、自然に出るものなり。若し病人少しも動けば折れ鍼横に成り出ざるものなり。又、腹いずれの穴にて鍼折るとも気海の穴のかたわら各々おのおの三寸半の所、折れ鍼の方へ刺す。折れ鍼自然にとけるなり。折れ鍼内へ引く時は神闕に刺す。男は逆女は順なり。鍼折れて肉の内に在る時は鼠の脳をくだり出る。又は白梅を噛て傅り出るものなり。

抜けざる鍼の事
一、鍼立て後、抜けざる事有り。病人の気、せまる故なり。先ず病人の心を鎮め気をゆるくせしめ次に我心を静め病人と話などして鍼口を少したたき又刺し入れて抜くなり。自然かくの如くしても抜けざる時はいずれの穴にてもの経の下一寸程に又の鍼を刺す。十に一も抜けずと云う事無し。

鍼立て違いの事
一、何れの所にても鍼立てて後筋張り痛む事有り。鍼跡に気のとどこおる故なり。
一、何れの穴にても其の経の上か下か一寸程間をおき立てる時は必ず直るなり。

鍼立てざる人の事
一、酒多く呑みすいたる人にまま立てず。
一、大きに腹立てたる人も其の儘立てず。
一、大きに身を使ひ辛労しんろうしたる人に其の儘立てず。
一、多く食して腹張るる人。
一、大きにひだるがる人。
一、大きに渇く人。
一、熇々こうこうの熱とて熱気ねっき事の外強き人。
一、漉々ろくろくの汗とて事のほか汗の多く出る人。
一、渾々こんこんの脈とて脈みだれがはしき人。
一、形も弱り病気も弱りたる人。
一、大きにおどろき大きにおそれては其の気を静めすなわち刺す。或いは馬、車、又は乗物などにりて来たる人には食するあいだいねさせ休め刺すなり。

禁穴の事
一、五里の穴は肘の上三寸、大筋の中。
一、承泣 目の下七分、瞳の通り。
一、気衝 臍の下八寸、脇へ二寸。
一、箕門 膝の上八寸、動脈の中。
一、青霊 肘の上三寸
一、絡却 髪際の上五寸五分、真中より脇へ一寸五分。
一、玉枕 絡却の後一寸五分。
一、承筋 腨の正中。
一、横骨 臍の下五寸、脇へ一寸。
一、三陽絡 腕の上四寸。
一、顱息 耳の後、青筋の中。
一、角孫 耳の上、中の間、髪際の下、口を開けば陥み有。
一、承霊 髪際の上四寸、脇へ三寸。
一、神庭 髪際の上五分。
一、顖会 神庭の後一寸五分。
一、脳戸 百会の後四寸半
一、神道 五の椎の下。
一、霊台 六の椎の下。
一、膻中 両の乳の正中。
一、水分 臍の上の一寸。
一、神闕 臍の正中。
一、会陰 両陰の間。 已上二十二穴なり。

一、石門 臍の下二寸。女に鍼を禁む。此の穴に鍼立てれば命終わるまで子を生ぜず。男は苦しからず。
一、三陰交 足の内踝の上三寸。姙婦に鍼立てず。
一、合谷 手の大指と食指の間。姙婦に鍼を禁む。

一、雲門 乳の上五寸、脇へ二寸。
一、鳩尾 蔽骨の下五分。
一、缺盆 喉の下、両の陥み。
一、客主人 耳の前の上に在り。
右の四穴は鍼深く刺さざるなり。

一、肩井 肩の上、骨に当て指を三つ置き中の指の当たる所の凹みなり。此の穴に鍼深く刺して目を眩さば足の三里に鍼補に立てなをるなり。

尺寸を定むる事
一、男は左、女は右の手の中指、中の節の折り目の間を其の人の一寸と定む。是を同身寸と云ふなり。

髪際を定むる事
一、両眉の正中より三寸上を前の髪際と定め、背中の大椎より三寸上を後の髪際と定むるなり。

大椎を定むる事
一、両の肩と等しき節の下を大椎と定む。肩より上に在るをば除け肩より下に在るを算入るなり。

鍼灸用ひざる日の事 血忌なり
丑未、寅申、卯酉、辰や戌、巳と亥、午子は血忌なりけり。

血支日の事 灸せざる日なり
寅より順に繰るなり。

十二支人神有り所の事 灸を禁む
一、子の日は目、丑は腰耳、寅は胸、卯は鼻、辰は腰、膝の中、巳は手、午は神、未は頭、手、申は頭、脊中、酉も脊中、戌は頭、顔、亥は頭、項。

十二時人神の事 灸を禁む
一、子の時は足の内踝にあり。丑は頭、寅は耳、卯は顔、辰は項、巳は乳、午は腹、羊は腹、申は神、酉は脊中、戌は腰、亥は股に在り。

四季の人神の事 灸を禁む
一、春は左の脇、夏は臍、秋は右の脇、冬は腰に在り。

長病日の事 灸せざる日なり
一、初五六や中の四五八地蔵日、末の七九は死病、長病。

男女に灸を禁む日の事
一、男は除の日、女は破の日なり。

病人初めて医師に遇ふ吉日の事
一、卯寅丑、子や亥の戌に酉や申未の午に巳辰なりけり。

中風の事
一、中風の症四つ有り。一には偏枯とて偏身手足の軟るなり。二には風痱とて身に痛みも無くして手足の遂はぬなり。三には風懿とて人をも見知らぬなり。四には風痺とて身の痺るるなり。中風の症、数多有りと雖ども略して少づつ誌す者なり。下は皆斯の如し。百会、肩井、補、曲池、瀉、三里、瀉、三陰交、風市、絶骨、右七所の穴と云ふ。左を中風せば右に鍼を刺し、右を中風せば左に鍼を刺すべし。

傷寒
一、冬強く寒気に中りて疾むを傷寒と云ひ、寒気裏に蔵れて春暖かに成りて発るを温病と云ひ、夏に成りて発るを熱病と云ふ。何れも同じ症なり。大きに汗し大きに下すを善しとす。上脘、補、中脘、補、三里、手足共に、三の兪、浅く刺す、章門は発散して日数立つ時は能き者なり。

痎瘧
一、内経に曰く、夏暑気に中れば秋必ず痎瘧すと有り。先づ寒くして後熱気さすを寒痎と云ひ、又、先づ熱して後寒きを温痎と云ひ、唯熱気さして寒からざるを癉痎と云ふ。一日に一度発るは癒へ易し。二日、三日に一度発るは瘥へ難し。長延て瘥へざれば後癆瘵と成る者なり。中脘、章門、寒きに善し、脾の兪、肝の兪、大椎の兪、先づ鍼刺して後に灸す。

痢病 しぶり腹の事
一、湿熱なり。赤きは血、白きは気、赤き白きの雑はり出るは脾胃悪く飲食腸胃の間に滞り脾を傷る。故に痢病をなす。鳩尾、気海、関元、三里、下脘、白きによし、上脘、痛むによし、章門、痛むに吉し。

嘔吐 からゑづきの事
一、胃の腑虚したる人、寒気・暑気に冒され、食に傷られ、或いは気結ぼれ、痰聚まりて嘔吐するなり。上脘、中脘、鳩尾、巨闕、天突、三の兪。

泄瀉 腹の下る事
一、脾胃弱き人、食物を過し、或いは風寒暑湿の気に中りて泄瀉するなり。関元、大腸の兪、気海、章門。

霍乱
一、食物に生物或いは冷物等を多く食して五臓を傷り胃の腑に滞り脾弱くして運ばず。或いは風寒の気に冒され発る。胸腹暴かに痛みて嘔吐し、或いは瀉し、或いは吐し、両の足転筋し、手足冷え、甚だしき時は死す。中脘、巨闕、章門、神闕は灸、下脘、鳩尾、上脘、委中より血を出してよし。

秘結 大便の結する病なり
一、腎虚する時は身の滋ひ竭きて大便結す。其の故は淫欲を恣にし食事時ならず喰ひ、或いは酢酒多く飲み、辛き熱の物などを多く食して此の病をなす。下脘、水分、章門、各補、十一の兪、瀉、気海、天枢。

咳嗽 すわふきの事
一、咳は所謂痰なくして声有り。肺気傷れて清からず。
一、嗽は声なくして痰あり。脾湿動じて痰を生ず。咳嗽は声有り痰有り。天突、三の兪、下脘、上脘、不容、章門、各補、百会、頭痛に吉し。

痰飲
一、火痰は黒色、労痰は膠の如し、湿痰は白く、寒痰はハ清し。痰の病暁め難し。
一、目眩めき耳鳴、或いは噯し酸噯し喉詰まり吐けども出ず飲めども降らず其の痰墨の如し、或いは手足腫れ痛み歯浮いて痛み癢く心の下に氷を留むるが如く胸冷へ痛み、或いは不思議なる事を夢に見、或いは足腕痺れ軟へ腰の骨卒かに痛み、或いは風湿の如く背骨の上に毎日紅の如くの筋発り、或いは眼粘り癢く言ふ事成難し、或いは喉痺項の廻りに塊など出で、或いは癲狂し中風身軟へ、或いは風毒脚気、或いは胸噪がしく、或いは嘔吐、或いは肺癰、或いは悪心泄瀉寒熱小便に膿出で、或いは胸の間ごろごろと鳴り、或いは冷き所など有り。是皆痰の所為なり。天突、尺沢、三里、合谷、上脘、三の兪、七の兪、中脘、補、水分、補。
一、赤き痰には天突、巨闕。黄なる痰には天突、下脘。白き痰には肺の兪、巨闕。黒き痰には肺の兪、腎の兪。

喘急 喘息なり
一、体弱き人、脾腎共に虚して一身の痰を養ひ難く、以て此の疾をなす。天突、合谷、三里、章門、巨闕、上脘、中脘。

飜胃 膈の事
一、夫れ膈噎、飜胃の病は七情に冒され、五臓の火動ひて身の液を耗し、痰熾にして脾胃衰へ、食を腐し運ぶことならずして膈と成り、噎と成り、飜胃と成る。膈は朝に喰ひたる物を夕に吐き夕に喰ひたる物を朝に吐く。噎は喉より返るなり。羊の糞の如く成るをする者は死す。中脘、吐くによし、三里、噎食降らざるによし、天突、膈噎によし、太白、肺の兪。

癆瘵 身弱き人
一、心腎を労し傷られて発る。或いは風寒暑湿の気に冒され、瘧を疾み咳嗽を出し、寒気内に入りて不養生をし、房労を淫し、食に傷られて癆瘵となる。其の症は身痩せ、髪抜け、盗汗をかき、夢遺を見、小便に白き物をし、腹の内に塊有り。百会、上脘、下脘、膏肓、骨の下に刺す、四花の穴に灸してよし。

噦逆 しゃくりなり
一、病後不養生をし、胃の腑の内弱く寒るに因てなすなり。胸の頃より出るは痊へ易し。臍の下より起り直に出る者は陰火升って愈へ難し。上脘、肩中の兪、梁丘。

頭痛
体虚き人、風寒の気の為に冒され、邪気散ぜずして偏症の頭痛を疾む。或いは髪など濯ひ風に当たりて寝れば又頭痛す。肥たる人の頭痛は気虚湿痰なり。痩たる人の頭痛は血虚痰火なり。風寒に中り心悪くからえづきするは頭風なり。左偏痛むは風と血虚となり。右は痰と気虚となり。頸項痛む者は風邪なり。頭の内強く痛む者は真頭痛とて朝に発れば夕に死し、夕に発れば朝に死す。百会、前頂、列缺、合谷、曲池、肩井、項拘き攣るに印堂、両眉の間、前の痛むによし。

心痛 胃脘痛なり 世俗も胸虫と云ふ物なり
一、痛み甚だしく、手足青く節を過る者は真心痛とて朝に発れば夕に死し、夕に発れば朝に死す。外邪気に中り生魚を多く食ひ痰聚まり心包絡に留て経絡を傷る。天突、鳩尾、章門、中脘、不容。

眩暈 目のまふ事
一、眼暗く家揺くが如く、起れば仆れんとす。凡そ眩暈は痰なり。肥たる人は気虚湿痰なり。痩たる人は血虚痰火なり。卒に発るは風痰なり。百会、承山、足の三里、人中、章門。

腰痛 こしのいたむ事
一、大きに力を出し、重き物を持ち、淫欲を恣にし、汗を出し水を浴ぶるが如くなる時は腎を傷る。多くは是腎虚なり。委中、血を出してよし。腎の兪、足の三里、章門、絶骨。

脚気
一、脾腎の経弱くして風寒暑湿の気に中って此の病をなす。腹に入て心を攻むれば死す。
一、足の内踝赤く腫れ痛むを遶蹕風と云ひ、外踝赤く腫れ痛むを穿そう風と云ひ、両の膝赤く腫れ痛むを鶴膝風と云ひ、両の股痛む者を腿しつ風と云ひ、腫れ痛むを湿脚気と云ひ、腫れざるを乾脚気と云ふ。陰陵泉、陽陵泉、三里、公孫、絶骨、風市、承山、三陰交。

黄疸 身の黄に成る病なり
一、脾胃の内に湿熱鬱して積で久しくして散ぜず。故に脾胃の色、顔と肌肉とに黄なる色出るなり。五疸とて五つあり。黄汗、黄疸、酒疸、穀疸、女労疸なり。
一、黄汗は足手腫れ汗出で衣染るには中脘、三里、大杼。
一、黄疸は遍身、顔、目、小便黄なるには脾の兪、三里、隠白。
一、酒疸は身目、小便黄に胸痛み顔赤く斑なるには胆の兪、委中、至陽。
一、穀疸は食喰ひ畢れば眩暈、偏身黄なるには胃の兪、腕骨、三里。
一、女労疸は身目黄に発熱、悪寒、小便通ぜざるには関元、腎の兪、至陽。

淋病
一、淋病の症五つ有り。気淋と云ふは小便渋りて瀝有り。石淋は茎痛み石出る。血淋は血出で茎痛む。膏淋は小便膏の如し。労淋は心労し精竭きれば発る。五淋は皆、膀胱の熱なり。湧泉、三陰交、関元、石門、腎の兪。

消渇 かわきの病の事
一、上焦は肺火。水多く呑み食少なし。
一、中焦は胃火。食速く消して飢え易し。腎の病なり。人中、脾の兪、中脘、三里、腎の兪。

赤白濁 小便の濁る病なり
一、赤濁有り。白濁有り。小便膏の如く、糊の如く、糊濃の如く、泔水の如く、赤き膿の如くなる者有り。是皆湿熱内傷又は腎経虚して濁るなり。赤濁は心虚の熱。白濁は腎虚の寒。下脘、瀉、気海、章門、赤にも白にもよし。

水腫 みづばれの事
一、惣身腫れて光り指にて按せば竅有り。指を揚れば填るなり。脾虚して水穀を運ぶ事成らずして皮膚に注ぎ泄れて腫れるなり。水分、気海、三陰交、三里、百会、上脘。

脹満 腹の脹る病の事
一、脾胃の気弱く水穀を運ぶ事ならず聚まり散ぜずして腹脹るなり。鼓脹とも云ふ。愈へ難き病なり。気海、三里、三陰交、上脘、中脘。

積聚
五積六聚有り。五積は定まる所有りて陰に属し、六聚は定まる所もなし形もなく気に属す。
一、心の積を伏梁と云ひ、其の状臍の上に起こり大きさ臂の如く、胸の頃に横たふ。肝の積を肥気と云ひ、其の状左の腋の下に有り大きさ杯を覆けたるが如く、手足頭など有るが如し。腎の積を奔豚と云ひ、ほ上に起こり或いは心に升り降りすること有り、豚の状の如し。肺の積を息賁と云ひ、其の状右の脇下に有り大きさ杯の如し。脾の積を痞気と云ふ、其の状中脘に見はれ大きさ杯を覆けたるが如くして塞がって在るなり。其の他に有る塊は痰と食積、死血なり。三里、中脘、建里、不容、章門、上脘、聚によし、下脘、聚によし

自汗 あせかく事附たり盗汗はねあせなり
一、夫れ心の液を汗と云ふ。心熱する時は汗出づ。自汗は陽虚に属し常に出づ。盗汗は陰虚に属す。寝入りたる内に出で覚むる時は止む。自汗には腎の兪、肝の兪、章門。盗汗には角孫、中脘。

癲癇 くつちかきの事
一、夫れ癲は心血の不足なり。好んで笑ふ事常ならず。仆れ錯乱す。
一、癇は卒に目を廻し仆れ、身軟て歯を噛み涎沫を吐き人を知らず頓て醒むる。痰の故なり。鳩尾、人中、間使、肝の兪、上脘、天突。

吐血 血をはく病の事
一、夫れ積熱の至す所なり。衂血も同じ。肺の兪、上脘、天突、巨闕、鳩尾。衂血には少海、郄門。

下血 大便に血下る病の事
一、大腸に風有れば必ず大便より先え血下る。近血と云ひ。臓毒の下血は必ず大便より後に血下るを遠血と云ふ。気海、補、脾の兪、補、百会、腎の兪、妙なり、関元。

脱肛 肛門の出る病の事
一、肺の臓虚し寒る時は肛門出るなり。女産の時力を出し、又は幼児久しく腹下り臓寒る時は出るなり。懸枢、中脘、百会。

遺尿 覚えず小便たるる事
一、心腎の気虧け陽気衰へ寒て出るなり。関元、石門、中極。

遺精 夢に精泄るる事
一、邪気陰分に在りて神舎りを衛らず心に感ずる所有りて夢に精漏るるなり。腎の兪、大補、気海、補。

上気 気の上る事
一、下寒る時は気上るなり。三陰交、三里、百会、風市。

腹痛 腹のいたむ事
一、腹の痛みは寒熱、食結、湿痰、蟲、虚実の故なり。
一、痛み増す事もなく減とる事もなく痛むは寒なり。腹俄に痛み卒に止するは熱なり。腹痛んで下り下って後痛み寛ぐは宿食なり。痛み所変らず一所にて痛むは死血なり。小便通ぜずして痛むは湿痰なり。腹引きつり脇の下鳴るは痰なり。腹痛み或いは止み面白く唇赤きは蟲なり。手を以て按せば腹柔かに痛み寛ぐは虚なり。腹張り硬く痛で手にて按されざるは実なり。内関、天枢、上脘、中脘、胃の兪、巨闕、梁門、石門、三陰交、三里。

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