『選鍼三要集』杉山和一著③ ~江戸時代の鍼灸の教科書~

井栄兪経合を論ずる第二

経に曰く、帝の曰く、予願くは五臓六腑の出る所の処を聞かん。岐伯の曰く、五臓五兪、五五二十五腧、六腑六腧六六三十六腧、経脈十二、絡脈十五、凡て二十七気上下を以てす。出る所を井と為し、流るゝ所を栄と為し、注ぐ所を兪と為し、行く所を経と為し、入る所を合と為す。是れ二十七気の行く所、皆五腧に在り。
或る人問ふ、其の病を主ること如何ん。予が曰く大意を難経に論ずらく。井は心下満つることを主り、栄は身熱することを主り、兪は体重く節痛むことを主り、経は喘咳寒熱することを主り、合は逆気して泄することを主る。此れ五臓六腑井栄兪経合の主る所の病なり。
復た謝氏が註に則ち曰く、五臓の病を挙げて以て各(おのおの)一端例と為す。餘病は類を以て推して互い取るなり。六腑を言はざるは臓を挙げて以て之を該(か)ぬるに足れり。
又、経を論ず。五臓に六腑有り。六腑に十二原有り。十二原は四関より出づ。四関は五臓を治することを主る。五臓に病有らば当に之を十二原に取るべし。十二原は五臓の三百六十五節気味を禀(うく)る所以なり。五臓に病有らば、応に十二原に出づべし。十二原は各(おのおの)出る所有り。明かに其の原を知り其の応ずるを観て五臓の害を知る。
肺の原は太淵に出で、心の原は大陵に出で、肝の原は大衝に出で、脾の原は大白に出で、腎の原は大谿に出で、少陰の原は神門に出で、胆の原は丘墟に出で、胃の原は衝陽に出で、膀胱の原は京骨に出で、三焦の原は陽池に出で、大腸の原は合谷に出で、小腸の原は腕骨に出づ。此の十二原は五臓六腑に病有る者を治することを主る。
按ずるに井栄兪経合、又、井栄兪原経合は経穴を分かち主とすべし。五臓五の如く、六腑六の如し。然るに肺は少商を以て井と為し、魚際を栄と為し、太淵を腧と為し、経渠を経と為し、尺沢を合と為す。大腸の如きは商陽を井と為し、二間を栄と為し、三間を腧と為し、合谷を原と為し、陽谿を経と為し、曲池を合と為す。
肺心は終を以て井と為し、脾肝腎は初を以て井と為す。六腑の如きに至つては膀胱胆胃は終を以て井と為し、大腸小腸三焦は初を得て井と為す。
又、難経に曰く、春は井を刺し、夏は栄を刺し、季夏は兪を刺し、秋は経を刺し、冬は合を刺す者は何の謂ひぞや。然り、春井を刺す者は邪、肝に在り。夏栄を刺す者は邪、心に在り。季夏兪を刺す者は邪、脾に在り。秋、経を刺す者は邪、肺に在り。冬、合を刺す者は邪、腎に在り。一病毎に言はずと雖も刺法類を推し求むるに随て詳審すべし。

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