『選鍼三要集』杉山和一著⑧ ~江戸時代の鍼灸の教科書~

十五絡脈

手の大陰の別、名づけて列缺と曰ふ。
実するときは手の鋭掌熱し之を瀉し、虚するときは欠劫し小便遺数す之を補ふ。

手の少陰の別、名づけて通里と曰ふ。
実するときは膈に支へ之を瀉し、虚するときはもの言ふこと能はず之を補ふ。

手の厥陰の別、名づけて内関と曰ふ。
実するときは心痛し之を瀉し、虚するときは頭強ることを為す、之を両筋の間に取る之を補ふ。

手の太陽の別、名づけて支正と曰ふ。
実するときは節弛み臂廃る之を瀉し、虚するときは疣を生じ小なる者は指の痂疥の如し之を補ふ。

手の陽明の別、名づけて偏歴と曰ふ。
実するときは齲(むしくえ)聾(みみしひ)之を瀉し、虚するときは歯寒へ痺隔す之を補ふ。

手の少陽の別、名づけて外関と曰ふ。
実するときは肘攣り之を瀉し、虚するときは収まらず之を補ふ。

足の太陽の別、名づけて飛陽と曰ふ。
実するときは鼽窒頭背痛み之を瀉し、虚するときは鼽衂す之を補ふ。

足の少陽の別、名づけて光明と曰ふ。
実するときは厥し之を瀉し、虚するときは痿躄し坐して起つこと能わず之を補ふ。

足の陽明の別、名づけて豊隆と曰ふ。
其の病、気逆するときは喉痺卒瘖し、実するときは顛狂し之を瀉し、虚するときは足収まらず脛枯る之を補ふ。

足の大陰の別、名づけて公孫と曰ふ。
厥気上逆するときは霍乱し、実するときは腸中切痛し之を瀉し、虚するときは鼓脹す之を補ふ。

足の少陰の別、名づけて大鍾と曰ふ。
其の病、気逆するときは煩悶し、実するときは閉癃し之を瀉し、虚するときは腰痛す之を補ふ。

足の厥陰の別、名づけて蠡溝と曰ふ。
其の病、気逆するときは皐腫卒疝し、実するときは挺長し之を瀉し、虚するときは暴癢す之を補ふ。

任脈の別、名づけて尾翳と曰ふ。
実するときは腹皮痛み之を瀉し、虚するときは癢掻す之を補ふ。

督脈の別、名づけて長強と曰ふ。
実するときは脊(せなか)強る之を瀉し、虚するときは頭重きことを為す之を補ふ。

脾の大絡の別、名づけて大包と曰ふ。
実するときは身尽(みな)痛み之を瀉し、虚するときは百節尽く皆縦(ゆる)む之を補ふ。

凡そ此の十五絡脈は実するときは必ず見(あらは)れ、虚するときは必ず下る之を視れども見へず之を上下に求む。人の経同じからず。絡脈別るる所を以て異なればなり。

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