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杉山流三部書

療治之大概集

総検校 杉山和一著
巻之上巻之中巻之下

療治之大概集巻之上


補瀉の事

一、補は呼息に鍼を刺し入れ、吸息に鍼を抜き、その跡を揉むなり。
一、瀉は吸息に鍼を刺し入れ、呼息に鍼を抜き、その跡を揉まぬなり。

押手の事

一、押手は強からず弱からず、鍼抜くまで押手動さざるものなり。強く押して快きを虚とし、痛むものをば実と知るなり。

撚りの事

一、撚りを一大事とす。補瀉有り生死を知る。気を降すには左の方へ撚り、気を升すには右の方へ撚る。心に蓮の藕を持ち鉄石を撚り抜くが如く、手の内を柔かにして順と逆とを攷え撚る時は万病瘥ずと云う事無し。

四季鍼の事

一、春夏は浅く刺し、秋冬は深く刺す。然れば、春夏は陽気上に在り人の気もまた上に在り、故に浅く刺す。秋冬は陽気に在り人の気もまた下に在り、故に深く刺す。是、四季に鍼を用る浅深の法なり。

男女立様の事

一、男は陽にして気外に甚だし。鍼する時は手を軽くその穴を押てその鍼を浅く刺し
一、女は陰にして気内に甚だし。鍼する時は手を重くその穴を押てその鍼を深く刺すなり。

鍼折れたる時の事

一、腹の中にて鍼折れたる時は押手引かざる者なり。鍼の折れ口腹の皮と均しく折るるは、先ず押手を以て強く押し出す者なり。折れ口皮一分計り内に在る時は病人少しも動かさずしてその穴より下に鍼刺す、自然に出るものなり。若し病人少しも動けば折れ鍼横に成り出ざるものなり。又、腹何れの穴にて鍼折るとも気海の穴の旁、各々三寸半の所、折れ鍼の方へ刺す。折れ鍼自然に銷るなり。折れ鍼内へ引く時は神闕に刺す。男は逆女は順なり。鍼折れて肉の内に在る時は鼠の脳を摧き傅り出る。又は白梅を噛て傅り出るものなり。

抜けざる鍼の事

一、鍼立て後、抜けざる事有り。病人の気、逼る故なり。先ず病人の心を鎮め気を弛くせしめ次に我心を静め病人と話などして鍼口を少し扣き又刺し入れて抜くなり。自然斯の如くしても抜けざる時は何れの穴にても其の経の下一寸程に又餘の鍼を刺す。十に一も抜けずと云う事無し。

鍼立て違いの事

一、何れの所にても鍼立てて後筋張り痛む事有り。鍼跡に気の滞る故なり。
一、何れの穴にても其の経の上か下か一寸程間をおき立てる時は必ず直るなり。

鍼立てざる人の事

一、酒多く呑み醉たる人に其の儘立てず。
一、大きに腹立てたる人も其の儘立てず。
一、大きに身を使ひ辛労したる人に其の儘立てず。
一、多く食して腹張るる人。
一、大きに餓がる人。
一、大きに渇く人。
一、熇々の熱とて熱気事の外強き人。
一、漉々の汗とて事の外汗の多く出る人。
一、渾々の脈とて脈乱れがはしき人。
一、形も弱り病気も弱りたる人。
一、大きに駭き大きに懼れては其の気を静め則ち刺す。或いは馬、車、又は乗物などに駕りて来たる人には食する頃程寐させ休め刺すなり。

禁穴の事

一、五里の穴は肘の上三寸、大筋の中。
一、承泣 目の下七分、瞳の通り。
一、気衝 臍の下八寸、脇へ二寸。
一、箕門 膝の上八寸、動脈の中。
一、青霊 肘の上三寸
一、絡却 髪際の上五寸五分、真中より脇へ一寸五分。
一、玉枕 絡却の後一寸五分。
一、承筋 腨の正中。
一、横骨 臍の下五寸、脇へ一寸。
一、三陽絡 腕の上四寸。
一、顱息 耳の後、青筋の中。
一、角孫 耳の上、中の間、髪際の下、口を開けば陥み有。
一、承霊 髪際の上四寸、脇へ三寸。
一、神庭 髪際の上五分。
一、顖会 神庭の後一寸五分。
一、脳戸 百会の後四寸半
一、神道 五の椎の下。
一、霊台 六の椎の下。
一、膻中 両の乳の正中。
一、水分 臍の上の一寸。
一、神闕 臍の正中。
一、会陰 両陰の間。 已上二十二穴なり。

一、石門 臍の下二寸。女に鍼を禁む。此の穴に鍼立てれば命終わるまで子を生ぜず。男は苦しからず。
一、三陰交 足の内踝の上三寸。姙婦に鍼立てず。
一、合谷 手の大指と食指の間。姙婦に鍼を禁む。

一、雲門 乳の上五寸、脇へ二寸。
一、鳩尾 蔽骨の下五分。
一、缺盆 喉の下、両の陥み。
一、客主人 耳の前の上に在り。
右の四穴は鍼深く刺さざるなり。

一、肩井 肩の上、骨に当て指を三つ置き中の指の当たる所の凹みなり。此の穴に鍼深く刺して目を眩さば足の三里に鍼補に立てなをるなり。

尺寸を定むる事

一、男は左、女は右の手の中指、中の節の折り目の間を其の人の一寸と定む。是を同身寸と云ふなり。

髪際を定むる事

一、両眉の正中より三寸上を前の髪際と定め、背中の大椎より三寸上を後の髪際と定むるなり。

大椎を定むる事

一、両の肩と等しき節の下を大椎と定む。肩より上に在るをば除け肩より下に在るを算入るなり。

鍼灸用ひざる日の事 血忌なり

丑未、寅申、卯酉、辰や戌、巳と亥、午子は血忌なりけり。

血支日の事 灸せざる日なり

寅より順に繰るなり。

十二支人神有り所の事 灸を禁む

一、子の日は目、丑は腰耳、寅は胸、卯は鼻、辰は腰、膝の中、巳は手、午は神、未は頭、手、申は頭、脊中、酉も脊中、戌は頭、顔、亥は頭、項。

十二時人神の事 灸を禁む

一、子の時は足の内踝にあり。丑は頭、寅は耳、卯は顔、辰は項、巳は乳、午は腹、羊は腹、申は神、酉は脊中、戌は腰、亥は股に在り。

四季の人神の事 灸を禁む

一、春は左の脇、夏は臍、秋は右の脇、冬は腰に在り。

長病日の事 灸せざる日なり

一、初五六や中の四五八地蔵日、末の七九は死病、長病。

男女に灸を禁む日の事

一、男は除の日、女は破の日なり。

病人初めて医師に遇ふ吉日の事

一、卯寅丑、子や亥の戌に酉や申未の午に巳辰なりけり。

中風の事

一、中風の症四つ有り。一には偏枯とて偏身手足の軟るなり。二には風痱とて身に痛みも無くして手足の遂はぬなり。三には風懿とて人をも見知らぬなり。四には風痺とて身の痺るるなり。中風の症、数多有りと雖ども略して少づつ誌す者なり。下は皆斯の如し。百会、肩井、補、曲池、瀉、三里、瀉、三陰交、風市、絶骨、右七所の穴と云ふ。左を中風せば右に鍼を刺し、右を中風せば左に鍼を刺すべし。

傷寒

一、冬強く寒気に中りて疾むを傷寒と云ひ、寒気裏に蔵れて春暖かに成りて発るを温病と云ひ、夏に成りて発るを熱病と云ふ。何れも同じ症なり。大きに汗し大きに下すを善しとす。上脘、補、中脘、補、三里、手足共に、三の兪、浅く刺す、章門は発散して日数立つ時は能き者なり。

痎瘧

一、内経に曰く、夏暑気に中れば秋必ず痎瘧すと有り。先づ寒くして後熱気さすを寒痎と云ひ、又、先づ熱して後寒きを温痎と云ひ、唯熱気さして寒からざるを癉痎と云ふ。一日に一度発るは癒へ易し。二日、三日に一度発るは瘥へ難し。長延て瘥へざれば後癆瘵と成る者なり。中脘、章門、寒きに善し、脾の兪、肝の兪、大椎の兪、先づ鍼刺して後に灸す。

痢病 しぶり腹の事

一、湿熱なり。赤きは血、白きは気、赤き白きの雑はり出るは脾胃悪く飲食腸胃の間に滞り脾を傷る。故に痢病をなす。鳩尾、気海、関元、三里、下脘、白きによし、上脘、痛むによし、章門、痛むに吉し。

嘔吐 からゑづきの事

一、胃の腑虚したる人、寒気・暑気に冒され、食に傷られ、或いは気結ぼれ、痰聚まりて嘔吐するなり。上脘、中脘、鳩尾、巨闕、天突、三の兪。

泄瀉 腹の下る事

一、脾胃弱き人、食物を過し、或いは風寒暑湿の気に中りて泄瀉するなり。関元、大腸の兪、気海、章門。

霍乱

一、食物に生物或いは冷物等を多く食して五臓を傷り胃の腑に滞り脾弱くして運ばず。或いは風寒の気に冒され発る。胸腹暴かに痛みて嘔吐し、或いは瀉し、或いは吐し、両の足転筋し、手足冷え、甚だしき時は死す。中脘、巨闕、章門、神闕は灸、下脘、鳩尾、上脘、委中より血を出してよし。

秘結 大便の結する病なり

一、腎虚する時は身の滋ひ竭きて大便結す。其の故は淫欲を恣にし食事時ならず喰ひ、或いは酢酒多く飲み、辛き熱の物などを多く食して此の病をなす。下脘、水分、章門、各補、十一の兪、瀉、気海、天枢。

咳嗽 すわふきの事

一、咳は所謂痰なくして声有り。肺気傷れて清からず。
一、嗽は声なくして痰あり。脾湿動じて痰を生ず。咳嗽は声有り痰有り。天突、三の兪、下脘、上脘、不容、章門、各補、百会、頭痛に吉し。

痰飲

一、火痰は黒色、労痰は膠の如し、湿痰は白く、寒痰はハ清し。痰の病暁め難し。
一、目眩めき耳鳴、或いは噯し酸噯し喉詰まり吐けども出ず飲めども降らず其の痰墨の如し、或いは手足腫れ痛み歯浮いて痛み癢く心の下に氷を留むるが如く胸冷へ痛み、或いは不思議なる事を夢に見、或いは足腕痺れ軟へ腰の骨卒かに痛み、或いは風湿の如く背骨の上に毎日紅の如くの筋発り、或いは眼粘り癢く言ふ事成難し、或いは喉痺項の廻りに塊など出で、或いは癲狂し中風身軟へ、或いは風毒脚気、或いは胸噪がしく、或いは嘔吐、或いは肺癰、或いは悪心泄瀉寒熱小便に膿出で、或いは胸の間ごろごろと鳴り、或いは冷き所など有り。是皆痰の所為なり。天突、尺沢、三里、合谷、上脘、三の兪、七の兪、中脘、補、水分、補。
一、赤き痰には天突、巨闕。黄なる痰には天突、下脘。白き痰には肺の兪、巨闕。黒き痰には肺の兪、腎の兪。

喘急 喘息なり

一、体弱き人、脾腎共に虚して一身の痰を養ひ難く、以て此の疾をなす。天突、合谷、三里、章門、巨闕、上脘、中脘。

飜胃 膈の事

一、夫れ膈噎、飜胃の病は七情に冒され、五臓の火動ひて身の液を耗し、痰熾にして脾胃衰へ、食を腐し運ぶことならずして膈と成り、噎と成り、飜胃と成る。膈は朝に喰ひたる物を夕に吐き夕に喰ひたる物を朝に吐く。噎は喉より返るなり。羊の糞の如く成るをする者は死す。中脘、吐くによし、三里、噎食降らざるによし、天突、膈噎によし、太白、肺の兪。

癆瘵 身弱き人

一、心腎を労し傷られて発る。或いは風寒暑湿の気に冒され、瘧を疾み咳嗽を出し、寒気内に入りて不養生をし、房労を淫し、食に傷られて癆瘵となる。其の症は身痩せ、髪抜け、盗汗をかき、夢遺を見、小便に白き物をし、腹の内に塊有り。百会、上脘、下脘、膏肓、骨の下に刺す、四花の穴に灸してよし。

噦逆 しゃくりなり

一、病後不養生をし、胃の腑の内弱く寒るに因てなすなり。胸の頃より出るは痊へ易し。臍の下より起り直に出る者は陰火升って愈へ難し。上脘、肩中の兪、梁丘。

頭痛

体虚き人、風寒の気の為に冒され、邪気散ぜずして偏症の頭痛を疾む。或いは髪など濯ひ風に当たりて寝れば又頭痛す。肥たる人の頭痛は気虚湿痰なり。痩たる人の頭痛は血虚痰火なり。風寒に中り心悪くからえづきするは頭風なり。左偏痛むは風と血虚となり。右は痰と気虚となり。頸項痛む者は風邪なり。頭の内強く痛む者は真頭痛とて朝に発れば夕に死し、夕に発れば朝に死す。百会、前頂、列缺、合谷、曲池、肩井、項拘き攣るに印堂、両眉の間、前の痛むによし。

心痛 胃脘痛なり 世俗も胸虫と云ふ物なり

一、痛み甚だしく、手足青く節を過る者は真心痛とて朝に発れば夕に死し、夕に発れば朝に死す。外邪気に中り生魚を多く食ひ痰聚まり心包絡に留て経絡を傷る。天突、鳩尾、章門、中脘、不容。

眩暈 目のまふ事

一、眼暗く家揺くが如く、起れば仆れんとす。凡そ眩暈は痰なり。肥たる人は気虚湿痰なり。痩たる人は血虚痰火なり。卒に発るは風痰なり。百会、承山、足の三里、人中、章門。

腰痛 こしのいたむ事

一、大きに力を出し、重き物を持ち、淫欲を恣にし、汗を出し水を浴ぶるが如くなる時は腎を傷る。多くは是腎虚なり。委中、血を出してよし。腎の兪、足の三里、章門、絶骨。

脚気

一、脾腎の経弱くして風寒暑湿の気に中って此の病をなす。腹に入て心を攻むれば死す。
一、足の内踝赤く腫れ痛むを遶蹕風と云ひ、外踝赤く腫れ痛むを穿そう風と云ひ、両の膝赤く腫れ痛むを鶴膝風と云ひ、両の股痛む者を腿しつ風と云ひ、腫れ痛むを湿脚気と云ひ、腫れざるを乾脚気と云ふ。陰陵泉、陽陵泉、三里、公孫、絶骨、風市、承山、三陰交。

黄疸 身の黄に成る病なり

一、脾胃の内に湿熱鬱して積で久しくして散ぜず。故に脾胃の色、顔と肌肉とに黄なる色出るなり。五疸とて五つあり。黄汗、黄疸、酒疸、穀疸、女労疸なり。
一、黄汗は足手腫れ汗出で衣染るには中脘、三里、大杼。
一、黄疸は遍身、顔、目、小便黄なるには脾の兪、三里、隠白。
一、酒疸は身目、小便黄に胸痛み顔赤く斑なるには胆の兪、委中、至陽。
一、穀疸は食喰ひ畢れば眩暈、偏身黄なるには胃の兪、腕骨、三里。
一、女労疸は身目黄に発熱、悪寒、小便通ぜざるには関元、腎の兪、至陽。

淋病

一、淋病の症五つ有り。気淋と云ふは小便渋りて瀝有り。石淋は茎痛み石出る。血淋は血出で茎痛む。膏淋は小便膏の如し。労淋は心労し精竭きれば発る。五淋は皆、膀胱の熱なり。湧泉、三陰交、関元、石門、腎の兪。

消渇 かわきの病の事

一、上焦は肺火。水多く呑み食少なし。
一、中焦は胃火。食速く消して飢え易し。腎の病なり。人中、脾の兪、中脘、三里、腎の兪。

赤白濁 小便の濁る病なり

一、赤濁有り。白濁有り。小便膏の如く、糊の如く、糊濃の如く、泔水の如く、赤き膿の如くなる者有り。是皆湿熱内傷又は腎経虚して濁るなり。赤濁は心虚の熱。白濁は腎虚の寒。下脘、瀉、気海、章門、赤にも白にもよし。

水腫 みづばれの事

一、惣身腫れて光り指にて按せば竅有り。指を揚れば填るなり。脾虚して水穀を運ぶ事成らずして皮膚に注ぎ泄れて腫れるなり。水分、気海、三陰交、三里、百会、上脘。

脹満 腹の脹る病の事

一、脾胃の気弱く水穀を運ぶ事ならず聚まり散ぜずして腹脹るなり。鼓脹とも云ふ。愈へ難き病なり。気海、三里、三陰交、上脘、中脘。

積聚

五積六聚有り。五積は定まる所有りて陰に属し、六聚は定まる所もなし形もなく気に属す。
一、心の積を伏梁と云ひ、其の状臍の上に起こり大きさ臂の如く、胸の頃に横たふ。肝の積を肥気と云ひ、其の状左の腋の下に有り大きさ杯を覆けたるが如く、手足頭など有るが如し。腎の積を奔豚と云ひ、ほ上に起こり或いは心に升り降りすること有り、豚の状の如し。肺の積を息賁と云ひ、其の状右の脇下に有り大きさ杯の如し。脾の積を痞気と云ふ、其の状中脘に見はれ大きさ杯を覆けたるが如くして塞がって在るなり。其の他に有る塊は痰と食積、死血なり。三里、中脘、建里、不容、章門、上脘、聚によし、下脘、聚によし

自汗 あせかく事附たり盗汗はねあせなり

一、夫れ心の液を汗と云ふ。心熱する時は汗出づ。自汗は陽虚に属し常に出づ。盗汗は陰虚に属す。寝入りたる内に出で覚むる時は止む。自汗には腎の兪、肝の兪、章門。盗汗には角孫、中脘。

癲癇 くつちかきの事

一、夫れ癲は心血の不足なり。好んで笑ふ事常ならず。仆れ錯乱す。
一、癇は卒に目を廻し仆れ、身軟て歯を噛み涎沫を吐き人を知らず頓て醒むる。痰の故なり。鳩尾、人中、間使、肝の兪、上脘、天突。

吐血 血をはく病の事

一、夫れ積熱の至す所なり。衂血も同じ。肺の兪、上脘、天突、巨闕、鳩尾。衂血には少海、郄門。

下血 大便に血下る病の事

一、大腸に風有れば必ず大便より先え血下る。近血と云ひ。臓毒の下血は必ず大便より後に血下るを遠血と云ふ。気海、補、脾の兪、補、百会、腎の兪、妙なり、関元。

脱肛 肛門の出る病の事

一、肺の臓虚し寒る時は肛門出るなり。女産の時力を出し、又は幼児久しく腹下り臓寒る時は出るなり。懸枢、中脘、百会。

遺尿 覚えず小便たるる事

一、心腎の気虧け陽気衰へ寒て出るなり。関元、石門、中極。

遺精 夢に精泄るる事

一、邪気陰分に在りて神舎りを衛らず心に感ずる所有りて夢に精漏るるなり。腎の兪、大補、気海、補。

上気 気の上る事

一、下寒る時は気上るなり。三陰交、三里、百会、風市。

腹痛 腹のいたむ事

一、腹の痛みは寒熱、食結、湿痰、蟲、虚実の故なり。
一、痛み増す事もなく減とる事もなく痛むは寒なり。腹俄に痛み卒に止するは熱なり。腹痛んで下り下って後痛み寛ぐは宿食なり。痛み所変らず一所にて痛むは死血なり。小便通ぜずして痛むは湿痰なり。腹引きつり脇の下鳴るは痰なり。腹痛み或いは止み面白く唇赤きは蟲なり。手を以て按せば腹柔かに痛み寛ぐは虚なり。腹張り硬く痛で手にて按されざるは実なり。内関、天枢、上脘、中脘、胃の兪、巨闕、梁門、石門、三陰交、三里。


巻之上巻之中巻之下

療治之大概集巻之中


諸蟲門 もろもろのむしの事

一、諸蟲は大腸胃の腑の内の湿熱に生ずる者なり。外台秘要と云ふ書に曰く蟲九種有り。何れも人の臓腑を啖ふ。一つに伏蟲、長さ四寸計り。二に蛔蟲、長さ一尺程。三に白蟲、長さ四五尺餘り。四に肉蟲、爛れたる杏子の如し。五に肺蟲、蚕蠶の如し。六に蝟蟲、蝦蟇の如し。七に弱蟲、瓜瓣の如し。八に赤蟲、生肉の如し。九に蟯蟲、菜の蟲の如く少さし。諸の蟲、多く生じて心を貫けば人を殺す。又、世に寸白と云ふ物有り。ほ上に張り、陰嚢を苦しむる者なり。章門、不容、中脘、天突、巨闕、神闕は灸、大横、寸白によし、大赫、陰嚢腫るるによし。

口中門 口歯の疾の事

一、夫れ口は脾胃の主る所なり。唇も亦、脾の主る所。脾胃邪を受くれば唇疾む。風勝つ時は唇動く。寒勝つ時は唇上がる。熱勝つ時は裂くる。気鬱する時は瘡を生ず。舌は心の主る所なり。風寒、是に中る時は舌強して言ふ事成り難し。歯は骨の餘り、腎の主る所なり。精気強き時は牙自ら固し。腎気衰ふる時は歯自ら豁く。歯の痛みは胃の腑の火熾なり。蟲喰ひ痛むは大腸胃の腑の内に湿熱の有る故なり。喉腫れ痛み瘡を生じ喉塞がり言ふこと成り難きは風熱、痰火なり。急に治せざれば死す。
一、喉痺には、天突、委中、妙なり、合谷、少商、血を出してよし。
一、喉痛むには、天突、耳門、口開き難きにもよし。
一、重舌卒に出で死に入るには、天容。
一、歯両の頷赤く腫れ痛みには、人中、合谷。
一、上の牙偏痛み耳の前に引き攣り口開き難きには、頬車、合谷、大迎。
一、下の牙偏痛み頬項赤く腫れ痛むには、頬車、陽谿。
一、蟲喰ひ歯には、頬車、列缺、犢鼻。

眼目 目の病の事

一、夫れ人に両眼有るは天に日月在るが如し。萬の物を見一身の肝要なり。目の病七十二種有りと雖ども有増を記す。
一、烏睛は肝の臓の主り。眥は心、胞は脾、白睛は肺、瞳子は腎なり。三陰交、風門、手足の三里、百会、肩井、肝の兪。
一、目に外障かかり渋りて開き難きには、睛明、肝の兪、合谷。
一、目風に中りて爛れ泪出るには、睛明、攅竹、二間、絲竹空。
一、目風に中り腫れ痛みて弩肉出るには、睛明、攅竹、肝の兪、委中、合谷、列缺。
一、目卒かに赤く腫れ痛むには、迎香、攅竹、合谷。
一、目赤く痛で涙出で止まざるには、攅竹、合谷、臨泣。
一、赤く痛むには、承漿、百会。
一、倒睫拳毛には、睛明、瞳子髎。
一、痛むには、肝の兪、中脘、石門。

耳門 耳の病の事

一、夫れ耳は腎の主る所なり。腎虚する時は耳聞へずして鳴るなり。左の耳の聞えぬは胆の腑の火動するなり。右の耳聞えぬは色欲、相火動くなり。両の耳聞えぬは胃火なり。両の耳腫れ痛むは腎経に風熱の有る故なり。両の耳より膿出るも亦風熱の故なり。
一、耳聞えぬは、聴会、迎香、三里。
一、耳鳴には、頬車、迎香、百会。
一、痛むには、耳門、肝の兪、章門、頬車、風池。

婦人門 女の疾を集め書くなり

一、夫れ女は十四なる時月水行り、男は十六なる時陽精行く。是れ皆陰陽の数に合う。夫れ人に夫婦有るは天地の如し。天地の道は陰陽和合して男女を生ず。故に女は先づ月水調ふ。月水調ふれば万病生ぜず。万病生ぜざれば孕む事を為す。凡そ女の病は多くは気盛にして血虚するなり。月水或いは進み、或いは後れ、或いは多く、或いは少なく、或いは越えて来らず、一月に再度来る者は是れ調らざるなり。例より早きは血減りて熱有るなり。又例より遅くして来て痛みを為す者は血耗りて寒なり。又来らんとして痛みを為す者は血実し気滞るなり。又来て後痛む者は気血の虚なり。又久しくして来たず腹脇に塊有りて痛みを為す者は血結ぼれ癥瘕なり。癥瘕と云ふは女の腹の塊積なり。崩漏と云ふは血の多く出る病なり。帯下と云ふは少づつ久しく出るなり。婦人子無き者は気血倶に虚するなり。肥たる人は痰多く身の膩充ちて子宮を塞ぐ。痩たる者は火多く子宮澡いて血なし。

産前

一、産前には重き物を持たず高き所の物を取らず腹を立てざる者なり。必じ難産すと有り。まづ逆産は足を出し、横産は先づ手を出し、坐産は先づ肘を出す。是皆力を出す故なり。足手先づ出すには手足の内を鍼にて一二分の深さ三つ四つ刺し塩を其の上に傅る。子痛みを得て軽々と引き入り返り生まるるなり。

胞衣下りざる事

一、胞衣下りざるは子産み畢つて後血胞衣の中え流れ入て膀れ下りざるなり。
一、子胎内にて死する事有り。早く驚き或いは強く腰を抱き荐に捜り診るに因りて胞衣傷れ血燥き涸るるの故に因りてなり。其の證、母の唇舌黒く青きは母子倶に死す。舌黒く或いは腫れ悶える事甚だしき時は子死す。能く慎しむべし。

産後①

一、産後には先づ美酒を熱く燗し幼き児の小便半分雑ぜ杯に一つ飲ませ目を閉がしむ。須叟坐して床に昇せ高く倚り掛からせ膝を立て仰けに臥さしめ、時々喚び覚し醋を鼻に傅り、或いは墨にて濯ぎ、漆の干たるを焚け。干たる漆無くしば古き塗物を焚く。手にて胸の頃を捜り臍の下に至りて悪血の滞をざるようにし、斯くの如くすること三日、眩暈血の上る事無し。酒は血を行すと雖ども多くはすべからず。血を引いて足手に入り眩暈意有る者なり。

産後②

一、食脾胃を傷り泄瀉痢疾になりては治え難し。
一、産後母の乳強り塊り散ぜず寒熱痛みを為す者は速やかに揉み散らすべし。乳通じ塊り自ら消るなり。若し消へざれば乳廱と為る。
一、月水通ぜざるには、曲池、三陰交、中髎、四満、中注、間使、中極、関元。
一、産後臍腹痛み瘀血止まざるには、水分、関元、三陰交。
一、難産分娩せざるには、三陰交、合谷、至陰に灸す。
一、子宮久しく寒て孕む事成り難きには、中極、三陰交、子宮。子宮は中極の旁ら三寸に在り。
一、崩漏、帯下、子無きには、気海、三陰交、地機。
一、難産、子母の心を握って生れざるには、巨闕、合谷、三陰交。
一、胞衣下りざるには、曲骨、腎の兪、崑崙。
一、産後母の乳足らざるには、乳根、章門、絶骨、前谷。
一、産後瘀血出で止まざるには、関元、石門、気海、痛むにも吉し。
一、後腹痛むには、腎の兪、関元、気海。
一、血塊には、中脘、関元、十四の兪。
一、赤帯、白帯には、帯脈、五枢、蠡溝、百会、虚し痩たる人にもよし、腎の兪、同じく、関元、同じく、三陰交、同じく。

小児門 幼き児の病を聚め書くなり

一、夫れ小児の病は先づ顔の色を見る。肝の臓より病出るは顔の色青し。心の臓より病出るは顔の色赤し。脾の臓より病出るは顔の色黄なり。肺の臓より病出るは顔の色白し。腎の臓より病出るは顔の色黒し。先づ五臓の病を能く分別して性質の強弱を考ふべし。
一、両の足寒る時は傷寒と知るべし。惣身寒は傷寒、中指熱せば傷寒、鼻冷は瘡、麻疹の類なり。耳冷は風熱の症。上熱し下寒る時は食に傷らるるなり。
一、男は左女は右の手の中指寒は出物、顔の色赤きは風熱の症、青きは驚風、黄なるは肝積、白きは虚寒、黒きは腎の臓傷れて死するなり。
一、小児三歳より内は男は左女は右の手の食指の筋を見る。是を虎口と云ふ。本の筋を風関と云ひ、二つ目の筋を気関と云ひ、三つ目の筋を命関と云ふ。風関に筋見ゆるは病軽し。気関に見ゆるは病重し。命関に見ゆるは治り難し。
一、紫色の筋見ゆるは熱なり。赤きは傷寒、青きは驚風、白きは疳、黒きは中悪、黄は脾胃の苦しみなり。

小児死する者の見様の事

一、目に赤筋出で瞳子を貫き踊り腫れ或いは竅を為し、指の甲黒く、鼻乾き、俄にしはかれ聲を出し、脇腹に青筋出で、舌を出し、歯を噛み、上視つかひし、急に啼く事成り難きは生る事なし。
一、烏睛すはる者は夜死す。面青く唇黒きは昼死す。啼いて笑はざるは痛み、笑ふて泣かざるは驚風。小児生れて血気足らず、陰陽和せず、臓腑未だ実せず、骨未だ完からず、変生の後三十二日毎に一度発熱す。或いは汗し、或いは不食す、或は吐逆し腹下る。是は皆血脈長じて知恵を全くするの證なり。療治せざれども自れ瘳えるなり。凡そ小児の病は多くは胎毒、又は食に傷らるるなり。
一、小児歩行こと晩く、髪晩く生ゆるは気血実ざるなり。
一、言語晩きは邪気心にあり。
一、歯晩く生ゆるは腎の不足なり。

急驚風

一、急驚風は歯を喰ひ詰め熱気さし、涎垂れ手をひくめき、口の中熱し、頬唇赤く、大小便結し、風邪痰熱多くは肝の臓に属す陽症なり。百会、人中、印堂、両眉の間、中衝、大敦、大鍾、合谷。

慢驚風

一、慢驚風は脾胃の気不足。病後に或いは吐逆し腹下り、或いは足手寒上り鼻息熱し手足ひくめき、眠りて烏睛を見はし、大小便赤く黄に、或いは醒々として睡らず、熱酷だしき時は痰を生ず。痰生ずれば復た風を生ず。治り難き陰症なり。隠白、商丘、身柱、驚疳によし。百会、承漿、人中、大敦、脾の兪。

一、疳の病は乳母食物を時ならず食らひ甘き物を過し、暑さ寒さを厭はず、喜怒を甚だしくし、酒多く呑み脾胃を傷り、其の後乳を子に与ふるに因りて子の病出でるなり。又は久しく吐逆し腹下り痢疾など煩ひて必ず其の後にて出でるなり。睛明、章門、九の兪、七の兪、十一の兪、上脘、中脘。

癖疾 腹脇に有る塊なり 世俗にかはらと云ひ又はかたかいとも云ふなり

一、小児の癖疾両の腋に在り。乳母不養生にして食物滞り邪気相副へて成る。癖久しければ食減り脾の臓の気弱く成る。癖は皮の内膏皮の外に有り。章門、上脘、中脘。
一、小児の大椎より亀の尾まで脊骨を能く探れば血筋に躍る所有り。是癖の根なり。其の上に銭三文置き押し着けて其の孔に灸七壮居えるなり。灸いぼへば験有り。筋に着かざればいぼはず効なし。

咳嗽 すわふきの事

一、小児肺風に傷らる。巨闕、三の兪。

嘔吐 からえづきの事

一、小児乳を多く飲みて胃を傷る。上脘、中脘。

泄瀉 さつさつと下る腹なり

一、小児乳多く飲みて脾を傷る。関元、気海。

夜啼客忤 夜啼はよなき客忤はをびゆるなり

一、小児躰熱して心悸がしく好んで夜啼きし、或いは腹熱し啼く時に汗有り。身仰き或いは口舌に瘡有りて腫れ痛んで乳を呑む事ならず故に夜啼く。心経に熱有り虚なり。
一、客忤は物の気を見て忤るなり。隠白、客忤によし、大都、同じ、間使、同じ、章門、夜啼に痛む声を刺す。

痘瘡 いもの事

一、夫れ小児の痘瘡出でんとする時何を以ってか知らん。
一、腮赤く胞モ亦た赤く或時は阿欠し、或いは噴し嚏ひ驚き耳の曲り手の指寒ること氷の如し。
一、赤き紙の火燭にて見れば皮の内に村々と赤く見る蚊の喰ひたる如くなるは悪し。
一、紫色に赤く山上げざるは火盛にして血熱す。
一、山あけず灰色に白く顛凹き者は気血の不足、虚寒の症なり。
一、乾痂する時、乾痂ずして其の痛み中脘に有るは熱毒滞り瘀血痛みを為すなり。
一、痛むは実なり。癢きは虚なり。薬服ざれども能きは足に少し出来根赤く腹下らず咽渇かず乳を呑むこと減らず手足温かにして身に大熱無きは薬服ざれども自ら痊るなり。

五行の事

一、五行は木、火、土、金、水なり。

五臓六腑の事

一、五臓は肝、心、脾、肺、腎なり。
一、六腑は大腸、小腸、三焦、胆、胃、膀胱なり。

五臓主りの事

一、肝、木、胆腑、眼、爪。心、火、小腸、舌、血、毛。脾、土、胃腑、口、唇、気、肉。肺、金、大腸、鼻、皮、息。腎、水、膀胱、耳、精、骨。

陰陽の事

一、夫れ天は陽なり。地は陰なり。明き所は陽、暗きは陰。男は陽、女は陰。気は陽、血は陰。五臓は陰、六腑は陽。頭は陽、足は陰。背は陽、腹は陰。左は陽、右は陰。手の甲は陽、手の裡は陰なり。

榮衛の事

一、夫れ榮は脉中を行き、衛は脉外を行く。榮は血、衛は気なり。

七情の事 喜怒憂思悲驚恐

一、喜べば心を傷り、怒れば肝を傷り、憂ふれば肺を傷り、思へば脾を傷り、悲しめば心包絡を傷り、驚けば胆を傷り、恐るれば腎を傷る。是は皆内より出でる病なり。

六淫の事 風寒暑湿燥火

一、冬強く寒気に中れば春必ず温病を疾む。温病とは傷寒の事なり。春風に中れば夏必ず飧泄す。飧泄とは筩下しと云ひて腹の下ることなり。夏暑気に中らば秋必ず痎瘧す。痎瘧とは瘧のことなり。秋湿に中れば冬必ず咳嗽を疾む。咳嗽とはすわぶきの事なり。是は皆外より入る病なり。


巻之上巻之中巻之下

療治之大概集巻之下


十五絡の事 絡とは餘の経え通ふ道なり

一、大腸遍歴、肺列缺、小腸支正、心通里、胃絡豊隆、脾公孫、胆絡光明、肝蠡溝、三焦外関、心主内関、膀胱飛陽、腎大鍾、陽蹻申脈、陰照海、督絡長強、任尾翳、脾の大絡大包の穴。

穴寸法の事

肺経の内

一、尺沢 手の横筋の中、動脈の所。
一、列缺 手を組て食指の端の届所。骨の間の陷み。
一、少商 手の大指の端内の側ら爪の甲を去ること韮の葉の如し。

大腸経の内

一、二間 手の食指本節の端内の側ら陷み。
一、合谷 手の大指と食指の間の陷み。
一、陽谿 手の甲横筋の中陷み。
一、遍歴 手の甲横筋の上三寸。
一、三里 曲池の下二寸。
一、曲池 肘を屈めて胸に当て横紋の端に有り。
一、中髎 肘の大骨の外廉大筋の方、陷みの中。
一、迎香 鼻の旁ら五分。

胃経の内

一、大迎 曲頷の前一寸三分動脈の所。
一、頬車 耳の下頬の端八分陷み。
一、乳根 乳の下一寸六分。
一、不容 巨闕の旁ら二寸。
一、承満 不容の下一寸。
一、梁門 承満の下一寸。
一、関門 梁門の下一寸。
一、太乙 関門の下一寸。
一、滑肉門 太乙の下一寸。
一、天枢 臍の旁ら二寸。
一、梁丘 膝の上二寸、両筋の間。
一、犢鼻 膝の間の中陷み。
一、三里 膝の下三寸。
一、豊隆 足の外踝の上八寸。

脾経の内

一、隠白 足の大指の端内の側ら爪の甲を去ること韮の葉の如し。
一、大都 足の大指本節の端内の側ら陷み。
一、大白 足の大指本節の後核骨の下陷み。
一、公孫 足の大指本節の後一寸陷み。
一、商丘 足の内踝の前微き下陷み。
一、三陰交 足の内踝の上三寸。
一、地機 膝の下五寸。
一、陰陵泉 膝の下内の側おほ骨の下陷み。
一、大横 臍の旁らえ四寸半。
一、大包 乳の下一寸六分脇え三寸。

心経の内

一、少海 肘の内外の側大骨の下五分。
一、通里 手の掌の後一寸陷み。

小腸経の内

一、前谷 手の小指本節の端外の側ら陷み。
一、腕骨 手の小指の後起骨の留り。
一、支正 手の掌の後五寸。
一、肩中兪 大椎の旁ら二寸。
一、天容 耳の下頬の後高き肉の所に在り。

膀胱経の内

一、睛明 眥頭に在り。
一、攅竹 眉の頭の陷み。
一、大杼 第一の椎の下背骨を去ること各脇え一寸五分。
一、風門 第二の椎の下脇え一寸五分。
一、肺兪 第三の椎の下脇え一寸五分。
一、厥陰兪 第四の椎の下脇え一寸五分。
一、心の兪 第五の椎の下脇え一寸五分。
一、督の兪 第六の椎の下脇え一寸五分。
一、膈の兪 第七の椎の下脇え一寸五分。
一、肝の兪 第九の椎の下脇え一寸五分。
一、胆の兪 第十の椎の下脇え一寸五分。
一、脾の兪 十一の椎の下脇え一寸五分。
一、胃の兪 十二の椎の下脇え一寸五分。
一、三焦兪 十三の椎の下脇え一寸五分。
一、腎の兪 十四の椎の下脇え一寸五分。
一、気海兪 十五の椎の下脇え一寸五分。
一、大腸兪 十六の椎の下脇え一寸五分。
一、関元兪 十七の椎の下脇え一寸五分。
一、小腸兪 十八の椎の下脇え一寸五分。
一、膀胱兪 十九の椎の下脇え一寸五分。
一、中膂内兪 二十の椎の下脇え一寸五分。
一、白環兪 二十一の椎の下脇え一寸五分。
一、附分 第二の椎の下背骨を去ること各脇え三寸。
一、魄戸 第三の椎の下脇え三寸。
一、膏肓 第四の椎の下五の椎の上え近く脇え三寸。
一、神堂 五の椎の下脇え三寸。
一、譩譆 六の椎の下脇え三寸。
一、膈関 七の椎の下脇え三寸。
一、魂門 九の椎の下脇え三寸。
一、陽綱 十の椎の下脇え三寸。
一、意舎 十一の椎の下脇え三寸。
一、胃倉 十二の椎の下脇え三寸。
一、肓門 十三の椎の下脇え三寸。
一、志室 十四の椎の下脇え三寸。
一、委中 足の膕の後、紋の中動脈の所。
一、承山 兌脱膓の下、世にすきさしと云ふ所なり。
一、飛陽 足の外踝の上七寸。
一、崑崙 足の外踝の後跟骨の上動脈の所。
一、申脈 足の外踝の下五分。
一、京骨 足の外踝の前大骨の下陷み。
一、至陰 足の小指の端外の側ら爪の甲を去ること韮の葉の如し。

腎経の内

一、湧泉 足の裏の陷み。
一、然谷 足の内踝前大骨の下陷み。
一、大谿 足の内踝の後跟骨の上動脈の所。
一、大鍾 足の跟の前外両筋の間。
一、照海 足の内踝の下四分。
一、横骨 臍の下五寸脇え一寸。
一、大赫 横骨の上一寸。
一、四満 大赫の上二寸。
一、中注 四満の上一寸。

心包経の内

一、郄門 手の掌の後五寸。
一、間使 手の掌の後三寸。
一、内関 手の掌の後二寸両筋の間。
一、中衝 手の中指の端内の側ら爪の甲を去ること韮の葉の如し。

三焦経の内

一、外関 手の甲横筋の上二寸。
一、三陽絡 腕の上四寸。
一、角孫 禁穴に見たり。
一、耳門 耳の前高き肉の所。
一、絲竹空 眉の後の陷み。

胆経の内

一、瞳子髎 眥五分。
一、聴会 耳の前の陷み、動脈の所。
一、臨泣 目の上髮際の上五分。
一、風池 耳の後脳穴の下髮際の陷み。是を押ば耳の中え響くなり。
一、肩井 禁穴に見たり。
一、帯脈 脇腹の下一寸八分。
一、五枢 帯脈の下三寸。
一、風市 立て手を下げ中指の端の届く所、骨の間の陷み。
一、陽陵泉 膝の下一寸外廉の陷み。
一、光明 足の外踝の上五寸。
一、絶骨 足の外踝の上三寸。

肝経の内

一、大敦 足の大指の端外の側ら爪の甲を去ること韮の葉の如し。
一、蠡溝 足の内踝の上五寸。
一、章門 下脘の旁ら九寸。横に臥し下の足を伸べ、上の足を屈め肱を揚げて是を取る。

督脈経の内

一、水溝 人中とも云ふ。鼻の下の陷み。
一、上星 髮際の上一寸。
一、前頂 髮際の上三寸半。
一、百会 髮際の上五寸。両眉の正中より八寸上なり。
一、大椎 肩と等しき節の下。
一、身柱 知利計とも云ふ。三の椎の下。
一、至陽 七の椎の下。
一、懸枢 十三の椎の下。
一、命門 十四の椎の下。
一、長強 脊骶の押し端れなり。

任脈経の内

一、承漿 下唇の下陷み。
一、天突 喉の下三寸陷み。
一、鳩尾 蔽骨の下五分。
一、巨闕 鳩尾の下一寸。
一、上脘 巨闕の下一寸。
一、中脘 上脘の下一寸。
一、建里 中脘の下一寸。
一、下脘 建里の下一寸。
一、水分 下脘の下一寸。
一、神闕 臍の正中。
一、陰交 臍の下一寸。
一、気海 臍の下一寸五分。
一、石門 臍の下二寸。
一、関元 臍の下三寸。
一、中極 臍の下四寸。
一、曲骨 臍の下五寸。

気附鍼の事

一、百会、人中、中脘、章門、神闕、灸して吉し、湧泉、鍼灸共に吉し、印堂、両眉の間。




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