トップページ東洋医学の豆知識>鍼灸医術の門
『鍼灸医術の門』 柳谷素霊著
 第九節 病証(4/4)

(六)是動病、所生病と井滎兪経合原穴解

 難経二十二難に脉に是動あり、所生病あり一脉変じて二病とあるが、これが、是動病、所生病といはれるところのものである。
 是動病――気也――邪在気、気為是動――主呴之――気在外、気留而不行者為気先病也
 所生病――血也――邪在血為所生病―――主濡之――血在内、血壅而不濡者為血後病也
前節栄衛の項でのべたやうに、気は衛気で脉外を循り、血は栄気で脉中を循るといふ、七十七翁恩田重信氏が『人体中に神気充満す気片寄すれぱ病となる、一切の万物は電気の中和によつて有す、中和電気が分離せば即ち電気発生せば病気となる、この電気を漢方の気と見ることが出来る』と云はれたことがあるが、かゝる意味の気が脉外を行き、血が之に従ふて循行するとの是はあながち荒唐無稽ではない、気は煦め往来し、皮膚分肉を薫蒸栄護し、血は筋骨を濡潤し、関節を滑利して臓腑を栄養するものとされてゐる。
 気は外に在り、血は内に在る、こうした考へ方から、気は先きに病み、血は後に病を生ずるとも考へられた、とにかく、これについて古来から論説があるが、今は気病が是動病で、血病が所生病であるとして置いてよからう。
 井滎兪経合原穴は十二経の各経にある穴の性質であつて、この解については難経六十四難、六十八難等に分明する説論がある。次にこれを紹介する。

第五図表 井滎兪経合原穴解
井――水之原――所出――谷井水源であり
滎――水之陂――所留――ごく極かに小水であり
兪――水之竇――所注――転輸、転注するところであり
経――水之流――所行――経過して流るゝ流れであり
合――水之帰――所入――相会し諸流を合するものである

かやうに十二経の各経にあるから、その性質によつて、具体的なる使用に供することが出来るのである。そして右に述べた解は所調、感触としての対象を示すものと考へてよいので、井は井源なる故、特殊の病状を呈せざる限り触れ難く、これを知るは古人分寸規定指示によるより致方がない。滎(ケイと訓むを本訓とす)は井源なり出でたる水の意にして、我々は所謂キヨロキヨロなる表現をつかつてゐる。然しながら、極めて絶小なるものである、兪はやゝ大なるもので、 我々はこれをギヨロギヨロと表現する、経はこれより大きく、コリコリといふし、合は大部大きいので、ゴリゴリと表現するのが常である。つまり、キヨロキヨロ、ギヨロギヨロ、コリコリ、ゴリゴリなる経筋をたよりにして経脈経穴を定めんとするのである。
 猶ほ井滎兪経合の主治証がある。

第六図表 井滎兪経合主治証
井――主心下満(肝木病)
滎――主身熱(心火病)
兪――主体節痛(脾土病)
経――主喘咳寒熱(肺金病)
合――主逆気而泄(腎水病)

 従つて、右の主誰のあるときは井滎兪経合穴を使ふのである。十二原穴は各病相通じて用ひてよい。
 猶ほ陽経と陰経によりて、井滎兪経合主治証穴の五行配当が異ふのである。即ち、陰経は井(木)滎(火)兪(土)経(金)合(水)であるが、陽経は井(金)滎(水)兪(木)経(火)合(土)である。これによつて、陰経の井穴と陽経の井穴とは木と金であるから相尅関係があることゝなる、井穴ぱかりでなく、他四穴に於いても同じやうに相尅関係になるのである。難経では、それを剛柔夫婦の道と説いてゐる、陰陽同じからざる故なりと説明してゐるが、これ等生体の神秘はやがて進歩せる科学によつて解明されることであらう。
 又、七十三難に諸井は肌肉浅薄気少、使ふに足らざるなり、井を刺すべきものは滎を刺して之を瀉すべしとあるが、井を瀉すときときには其の子である火穴滎を瀉せといふことである。又井を補ふべきときは其母である合穴を補ふてよいのである。これは六十九難の子母の補瀉法の運用である。内経に「若得若失」といふ説があるのが『得』は「求而獲也」で佖然たらしめることであり、補であり、『失』は「縦也遺也」で恍然たらしめる、瀉となることを表はしている。
 又四季によつて経気の循行に厚薄がある、七十四難には四季による経気の浮沈によつて次の如く述べてゐる。
 春刺井(邪在肝)夏刺滎(邪在心)季夏刺兪(邪在脾)秋刺経(邪在肺)冬刺合(邪在腎)と云ひ、それぞれ四季により刺すべしといふのである。

<<前へ  |  目次  |  次へ>>


トップページ  |  治療院紹介  |  診療案内  |  診療コースと料金  |  鍼灸適応症  |  治療の流れ  |  当院までの案内図  |  鍼灸について
東洋医学の豆知識  |  お灸紹介  |  お問い合わせ  |  ご予約  |  個人情報保護方針  |  サイトマップ  |  リンク


鍼灸やまと治療院 〒185-0021 東京都国分寺市南町3-11-7 吉田ビル1F
Copyright © 2006-2018 鍼灸やまと治療院. All rights Reserved.